みやこのしこう

通称みやこ目みやこ科みやこ属みやこの、あんまりいないらしいみやこという生き物の生態のひとりごと綴じ。でもメジャー寄りではないけどオンリーロンリーってほど稀有ないきものではない凡俗。珍獣程度だろうか、ありふれてる虫程度だろうか、自分ではよくわからない。

恋は盲目なんていうけれど

君のために

生きたかった


君のために

君によろこんでほしくて

笑ってほしくて

元気でいてほしくて


そばにいさせてくれるなら

そのために生きることを許してくれるなら


みやこを見て喜んで笑って元気になって

そのためならなんでもするから


みやこそこそこ有能だし努力次第でだいたいなんでも習得できるよ

でもだめ?

だめ?

だめ?


きみのそばで寝て、体温を感じて、君のほうを向いて

君もぼくの方を向いて、そっとぼくに手を伸ばしてくれるなら

なんだって君のために捨てられる

君さえいれば



たぶん本気でそうおもっていた

諦めなくてはいけないと肌で感じるまで心の底からそんな狂気的な夢を見ていた

熱くてひたむきで恐ろしい夢

なんであんなに好きだったんだろう

他になにも要らないだなんて要求のないフリをして、たぶんあれは

みやこだけを見てすべての感情がみやこに起因しますように

そんな支配的な依存的な願いだった

みやこだけを見てみやこだけが存在する退屈な世界で生きてっていう要求だった

手順も感情のプロセスもふっとばしていきなりそれって、こわかったろうなぁ

ごめんね

ずいぶん迷惑をかけたね


みやこも、ずっとぼっちでロンリーどんとこいだったのに、

いきなりずどんと落ちたように君のことしか考えられなくなって、

世界が君を中心に回りだして

本当のところは、「君のことしか考えられないぼく中心にエゴ剥き出し天動説ばりばりの、世界が新しいぼくを中心に回りだして」が正確か

ふと気付いたんだ、みやこはこんな奴だっけ?

全然今までのみやこらしさなんて捨ててしまって、

おまえの25年培ってきたアイデンティティー、言葉と思想と行動で武装してきた「じぶん」のプライドなんてどっかいっちゃってて、「みやこらしさ」と真逆の人間になりつつあった

童貞女子がこなれた女子気取りかよ

おそろしいね

頭でなんとなく気付いてて、

きみは本当に望んでいない

そしてみやこの望むように生きてもらうことは不可能なんだって、

体でも納得してもらうまでずいぶんかかった

脳内麻薬は強力で、リハビリ半年、

恋は病気なんじゃないかな

人格なんて理性なんて本能の前にはちっぽけなんだぜって嘲笑われてる感じ


心にぽっかり穴があいていて

その穴は誰もがあいているのにみんな形が違う

大きさも形もなにで埋めるかも

その穴を、絶対埋めてもらえることないしそんな人もいないと頑なに信じていた頭のかたいやつがさ、

この人ならわかってくれるかもしれない、埋めてくれるかもしれないなんて希望を見出したら、

こんなことになってしまうんじゃないかな


きみを信じてきみを夢みてきみに自分の穴埋めを委ねようとする


ありえないし恐ろしいことだね

だから今ぼくは、見た目を磨いて中身も磨いて友だちとの関係磨きも余念なく、またそんな自分を手放す落とし穴に落ちないように、自分で自分の穴を埋められるよう生きてます


あのひとにはあのひとの幸せのかたち、人生を生きてほしい

みやこはこれまでとまた違う人間に変化していく、きみのおかげもけっこうある、だからきみとはどんどん似なくなって、大して多くなかった共通点がますます減って、完全な縁も所縁もない他人になっていくから、ただ幸せを祈ろう

迷惑をかけました、ごめんね

愛していたんだ

きみなのか、きみに写った自分なのか、きみに反映されて期待した自分の欲望なのか、わからないけど、どんなきみだって愛せたとは、おもう

一応いろんなパターンの疲れる例や挫折も幅広く妄想したつもりだし、いやでもわからないな。

わかるよなんて見栄はることはやめよう、わからないや。


なにを愛してたんだろう

でも、たぶん、間違いなくあれはなにかへの愛だったよ

あのひとのすべてに愛を見出して、

その中に自分を見つけて、

結局それはなにか自分にないものを求めて泣いてる自分で、

ひとつひとつ、欲望のかたちを手探りで、つかんで、ひきはなして、なでなでしながら、そっとはなして、結局許すのも許されるのもじぶんだった


そんなゆめをみていた

なんでこんなに自分しかいないんだろう

傲慢なんだね



きみのために生きられたら幸せだろうなって、おもってたのは、ほんとうだよ