みやこのしこう

通称みやこ目みやこ科みやこ属みやこの、あんまりいないらしいみやこという生き物の生態のひとりごと綴じ。でもメジャー寄りではないけどオンリーロンリーってほど稀有ないきものではない凡俗。珍獣程度だろうか、ありふれてる虫程度だろうか、自分ではよくわからない。

みやこと食欲


みやこと食欲は並ぶ。


いや食欲のが上かもしれない、

みやこは食欲の奴隷である。


みやこは食べるのが好きだ。

甘いものや好きのものを出されて食べていいよと言われれば、目が輝くし本当にうれしそうになる。実際うれしいのだ。

好きな食べ物が目の前にあって食べられるというのは、それだけで天国への階段が目前で歓喜であり幸せなのだ。

口から異物を取り入れる。

なるべく噛むようにとは思うけど、意識だけが素通りしてそのまま体に取り込む。

満腹中枢なんてとっくに壊れているし、食べ物があれば食べてしまう。胃は要らないといっても脳が食えという。

ひどいアトピーで社会に出れる場所がなかったから、体質改善しようとしていた一時期(おかげで一年で10kgほど痩せた)半年くらいしか空腹を感じたことはないし、満腹感もない。

最近は食後しばらくたって、(ああ胃に食べ物があるな)と感じるくらいだ。

異物感か。


みやこにとって食は、なぜか、なにかとても大事で尊重されるべきものだった。

作ってもらったものを食わないという選択肢は存在せず、そうやって異物を取り込み続けてきた。

その分吐くことに特化、進化もしてきた。食べすぎたら吐けばいい。体がそれを必要としたらするりと吐ける。今は手慣れたもので大して音もたてず汚れも最小限で吐ける。

ローマの貴族の贅沢も、こんな風にあれも食べたいこれも食べたいでも時間も体も足りない、という欲の行き着く先だったろうとおもう。

前に一度テレビで見たよくトイレに行く大食い女性は、よほど新陳代謝がいいのでなければみやこと同様吐くことに特化しているのだろうと、思う。当たるかは知らないが。


食は罪深い、みやこを支配している。

睡眠と平面での表現にも支配されているが。


食に対する小説や描写はみやこを惹きつける。サバランの美味礼讃なり、その他文学に出てくる料理なり、

けれど同時に東京喰種とかフィクションとしてそこそこの地位を築いているカニバ系の描写はとても恐ろしい。

本能的に怖い。

あとトリコとかもなんか罪深くて禊しなければ読めない気がする。


それはみやこがよく食べるから。

たくさん命を奪うからだろう。


動物にも植物にもその他寄生虫にも、生きていようと死んでいようと、食材として解体し潰し刃を入れ火で炙り、

おいしくするためならありとあらゆる残虐な行為がまかり通る。

他者を蹂躙して自分のモノとする。

食欲とは支配欲か独占欲か、はたまた他者とつながって自分の空洞を埋めたいのか。みやこの場合、密接すぎてそんなものになっている気がする。


だからトリコとか申し訳なさすぎてウグワアアアってなるんだけど。

俺の体の一部になってくれてありがとうなんて、味わいたいからもしくは惰性で口につっこんでまた出すような奴にはつらい。罪の深さを思い出させる。

ちなみに普段は平気だが、意識するとくらくらするほど怖いし、正直スプラッタとかグロも苦手だ。



それが、今日、親に控えめにちょっとごはん多いかもと言ったら、めんどくさいことになった挙句、要らなければ要らないと言っていいと言われた。

みやこが空腹も満腹も感じないのは、日課として義務感として料理が自動的に作られて自動的に出てくるからだと結論づけられてしまったからだ。

確かにそれは事実だ。

しかし、それは受け入れられない。

みやこにとって食べ物とは、みやこの意思やら体調やらを遥かに凌駕する尊いものだからだ。

食べ物が存在するのなら、そのために費やされた食材と料理人がいるのなら、煮込むなど時間がおけば味が出る料理以外は食べないという選択肢はない。

少なくともみやこにとっては。

気分や好き嫌いで食べないなんてワガママは万死に値する。

別に他人は自由にやればいい。

しかしみやこの中にできあがった料理において無下に扱うなど、常識の範疇外だし倫理的にもありえないしそんな自由は許せないし全ての罪悪、叛逆、許しがたい。

(だから内蔵脂肪がついてアトピーとなり皮膚に出て、

二次創作か好きな人か仕事以外は飯のことで脳内埋め尽くされ、食欲の調節が効かず、

口呼吸、異物吸収、ひどいときは胸焼け逆流性胃液などなど万病の原因なんだけど)


ということに、今日話し合わされて気付いてしまった。

前々から、もし前世があるなら絶対どこかで餓死か食に関する拷問受けたことありそうとは思うくらいの食欲、というか、本能で食べ物を体に入れる業持ちだったのだけど、更に明確に。

なんていうかほんとまじおいしい適度な自炊できるようになりたい。


あと、食べないという選択肢を選んでも食材も料理人も無駄にならないと説明されてしまい、むしろ食うなとまで言われたので、みやこはこのたびまた新たな大いなる変化と向き合わねばならぬ。

ような気がする。

そんな人生、存在しなかったのだから。

まあ、でも、気付いて新たな道ができるのなら、新たにやってみればいい。



しかし実はあと10kgやせたいね・・・そのくらい痩せれば皮膚に上がってくる老廃物ほとんどなくなるはず。